借金の保証人になった両親

私が小学校5年生の時の事です。
親戚のおじさん夫妻が、「脱サラしてラーメン店を始めるために借金をするので、保証人になってほしい」と両親に頼み込んできたのです。
私の両親は、昔から良くも悪くも人が良かったので、二つ返事で承諾しました。
その時の借金額は、200万円だったといいます。

その後、おじさん夫妻は実際にラーメン店を始めました。
しかし、立地条件はさほど悪くなかったものの、客足は一向に伸びず。
開店祝いに一度だけ行った両親いわく、「あまりにもまずくて、食べきるのが辛かった」との事でした。

おじさん夫妻は何とか経営を続けようとしていましたが、最終的には土地のテナント代を支払えなくなり、1年も経たないうちに店をたたみました。
残ったのは、200万円の借金だけ。
店の道具・家財道具を売り払っても、返済額には到底及ばなかったそうです。

収入のために再就職しようにも、50代後半のおじさんと、持病があったおばさんを雇う企業は見つかりませんでした。
店をたたんだ3ヶ月後……なんとおじさん夫妻が失踪してしまったのです。
両親を含め、親戚一同が警察に捜索願いを出すなど必死に探し回りました。
おじさん夫妻は、地元から遠く離れた山林の木に、2人並んでぶら下がっていたそうです。

借金をした張本人がこの世からいなくなった事により、200万円の借金は、保証人である私の両親が支払う事になりました。
それからは、とにかく節約……なんてレベルではない極貧生活でした。
お茶碗に半分もない白米、おかずは近所のスーパーのタイムセール品1点のみ。
私ですら足りなかったのに、朝から晩まで働き詰めの両親と育ちざかりの弟には、どれだけ辛かった事でしょうか。

あれから20年ほどが経ちました。
必死で借金を返済した両親に楽をさせるべく、私と弟は一生懸命働いています。
そして、両親の姿を見て、「借金の保証人になるとはどういう事か」を学びました。
親戚相手でも憎かったのに、血の繋がりがない相手の保証人には絶対にならないと強く心に誓っています。